「アートアクセスあだち 音まち千住の縁」とは

アートを通じた新たなコミュニケーション(縁)を生み出すことをめざす市民参加型のアートプロジェクトです。足立区千住地域を中心に、市民とアーティストが協働して、「音」をテーマにさまざまなまちなかプログラムを展開しています。日本家屋「仲町の家」も 文化サロンとしてオープン中!http://aaa-senju.com

主催:東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京、東京藝術大学音楽学部・大学院国際芸術創造研究科、特定非営利活動法人音まち計画、足立区

千住タウンレーベル とは

「アートアクセスあだち 音まち千住の縁」の一環として2016年から展開。アサダワタルと公募であつまった音の記者(タウンレコーダー)とともに、千住で生活してきた市井の人々の記憶、千住のまちならではの風景や人間模様にまつわるエピソード、 千住に根づき息づく音楽などを通して、「まち」と「私」の関係を 「音」で表現・発信・アーカイブする、音楽レーベル(プロジェクト)。
千住タウンレーベル Facebookページ

【主な活動】

・地域の音を使ったトラックづくり

・地域に眠るカセットテープ やVHSなどの「音」探し

・リリースした音源を広める活動...など


千住タウンレーベルに関する記事
●CINRA.NET(特集)-音を使って千住の町を面白くする。アサダワタルの実践に迫る-

●colocal-〈千住タウンレーベル〉とは? レコード片手にまちをめぐらせる、 アートプロジェクトのもくろみ-


タウンレコーダー とは

千住タウンレーベルには、現在 60 名の方々が参加しています。電子音楽好きの中学生や、50 代のサラリーマン、パソコンで音楽編集ソフトを使うのは初めてだという人もいれば、サウンドクリエーターで音楽編集が得意な人もいます。千住のまちとの関係性もさまざまで、千住タウンレーベルがきっかけで初めて来た人や、生粋の千住育ちのメンバーもいます。年齢や職業、住まい、興味関心など異なる背景を持った方々とともに、毎月1回程度集まり、『音盤千住 Vol.2』にむけたトラック制作や、『音盤千住 Vol.1』を千住のまちなかに届けていくための企画立案、「音」を集めるリサーチなどさまざまな活動を展開しています。


タウンレコーダーに関するご質問・お申し込みはこちらから。
(音まち公式HP お問い合わせフォーム)


アサダワタルによるタウンレコーダー・アドバイザー紹介

VNDO|あんどー

制作トラック:
『千住D-1グランプリ 2017』(『音盤千住 Vol.1』/2017)
『北千住5 x 5』(デモ発表会 Vol.2/2019)


浪曲など「声の芸」にもともと関心を持っていた千住在住のVNDO さん。千住のまちに鳴り響く「商いにおけるダミ声」に着目した『千住 D-1 グランプリ 2017』の制作から、この取り組みに参加し続けています。千住で活躍する7名の男性に取材をしたのちに、 今度は女性編と思ったが、これまたなかなかリサーチが難航。いさぎよく次のお題を見つける中で、彼が着目したのは「別のお題で男女混声を実現する」という離れ業。その名も『北千住5 x 5』。ここはちょっとネタばれになるのでこれ以上はぜひ音源の発表をお待ちいただければと思います。いつも切り口が明快なVNDO 節、どうぞお楽しみに。

岡野 勇仁|おかの ゆうじん

制作トラック:
『さんさ踊り・千住節』(『音盤千住 Vol.1』/2017)

岡野さんはまことに多彩なミュージシャン。以前から、音まちの様々なプロジェクトに関わりながら、この千住タウンレーベルでは、ご自身もメンバーである「菜の花楽団」で、宿場町の千住の歴史的気配を色濃く伝え継ぐ『千住節』と『さんさ踊り』を演奏&ミックス(ちなみにディレクターのアサダもドラムで参加!)。「聴きめぐり千住!」では、レコーディング会場である、東京藝術大学のスタジオで生演奏を披露し、隣のミックスルームでは『音盤千住』もリスニングできるという二段構えの聴き方を提案してくれた。

川嶋 陽子|かわしま ようこ

制作ラック:『師匠と囃子』(『音盤千住 Vol.1』/2017)

足立区在住の川嶋さんはタウンレコーダーになって以来、荒川土手のサウンドスケイプにピアノをあわせたデモトラックをつくったり、試行錯誤を重ねた結果、自身もメンバーとして活動するお囃子連中のお師匠さんの存在にたどり着かれました。河原町稲荷神社でのお稽古を重ねるなか、お師匠さんが囃子の指導と継承を続けてこられた思いなどを感じながら、「投げやり」という文化の語りと演奏を収録。「聴きめぐり千住!」では、仲町の家の真向かいの仲町氷川神社にて囃子連中のみなさんによる「獅子舞」を実現!

sasakimakoto|ささき まこと

制作トラック:
『seven clusters』(『音盤千住 Vol.1』/2017)
『birds〜まちと空の距離〜』(デモ発表会 Vol.2/2019)

千住在住のsasakiさんは建築の専門家であり、千住ならではの町並みや建物の価値を発信する「千住いえまち」というプロジェクトにも携わっています。しかし、彼の大学時代の卒論は、かの有名な現代音楽家ジョン・ケージだったとか。そんなsasakiさんは、千住旭町にあるご自身の家の窓から、ベランダから、360度まるっと千住の音風景(サウンドスケイプ)をレコーディングし、しかも今回はそのなかでも「鳥」に着目した『birds〜まちと空の距離〜』を発表した。

satoko|さとこ

制作トラック:
『Sound Portrait_Senju #00002 – Mother’s day-』
  (『音盤千住 Vol.1』/2017)

音響工学に携わるsatokoさんは、一昨年にタウンレコーダーになって以来、千住のまちの生活感を、住民のお宅訪問や買い物の様子を収録したりすることからはじめ、徐々にテーマを固めていかれました。それで、今回創作されたのは、千住で開催された「母の日」の音楽イベントの記録作品。子どもたちとの交流を深めてきた千住の音楽ユニット「タコテ座」のライブとその空気感を収録。「聴きめぐり千住!」では、千住ほんちょう公園(愛称:タコ公園)にテントを設置。公園で遊んでいる子どもたちも周りにいるであろう状況で、レコードを聴き、そして「タコテ座」の生演奏も行った。

シマダ カズヒロ |しまだ かすひろ

制作トラック:『ラジオ 1010』  (デモ発表会 Vol.2/2019)

シマダさんは初期からタウンレコーダーとしてイベントの広報や運営に携わってきたが、今回は自らトラック制作に挑戦! 彼は東京都小金井市でのアサダとのアートプロジェクトにおいて、地元の農家さんの記憶をテーマにしたツアーを企画し、そういった経験から「食」と「まち」という切り口で、足立区を代表する B 級グルメ「文化フライ」をもとにしたラジオ作品を提案。小麦粉にガムシロップなどを入れて練り混ぜて小判状にし、パン粉をまぶして油で揚げるというこの文化フライをこよなく愛する足立区在住のはすぴーさんとの出会い。食を通じて人と出会い、まちの匂いを体感する。「デモ発表会Vol.2」では、そんなラジオ番組を、音楽も交えて披露した。 

田中 充|たなか みつる

制作トラック:
『さよなら、たこテラス』(『音盤千住 Vol.1』/2017)

田中さんは「千住ヤッチャイ大学」のメンバーとしても、音楽を軸にさまざまな活動をしている。元自転車屋さんの空き家を活用した不思議なコミュニティスペース「たこテラス」では、ミュージシャンや地元の子どもたちとさまざまな音の縁を積み重ねた。そのひとつの記録として、たこテラスでの日常のサウ ンドスケイプを録音した『さよなら、たこテラス』。実はもともとすぐにさよならするわけではなかったが、物件を明け渡さないといけない事情があり事実「さよなら」になってしまった。それも含めて、記録が「記憶」となった。そのなんというか「記録の勘所」はさすがとしか言いようがないです。「聴きめぐり千住!」では、たこテラス前のたこ公園にてテントを張って参加者と行き交う子どもたちが混ざりながら『音盤千住』を聴きあった。

ふーじー&かんかん

制作トラック:
『千住お店の声トラック 伊勢屋さん』
  (『音盤千住 Vol.1』/2017)
『千住お店の声トラック 鳴門鯛焼本舗さん』
  (『音盤千住 Vol.1』/2017)

建築デザインの専門家とピアニストという面白いコンビのおふたりは、千住の地形を生かした図形楽譜に挑戦したり、日中夜間と、千住の多様な顔を知るために歩き回ってみたり。そんななかでお二人が関心を持ったのは千住の「いらっしゃいませ」。もちろん夜のお店の呼び込みもありますが(笑)、今回は商店街で経営される鯛焼き屋さんとおまんじゅう屋さんの声をピックアップ。「聴きめぐり千住!」では、まちなかにレコード屋台を出して、試聴と試食を同 時に行う不思議な企画を展開した!

Bon Numatta|ぼん ぬまった

制作トラック:
『tsu-na-ga-ru のボッタ』(『音盤千住 Vol.1』/2017)
『tsu-na-ga-ruの国歌』 (デモ発表会 Vol.2/2019)

小中学生時代を千住宮元町で過ごしたBon Numatta さん(愛称 Bonちゃん)は、そのときに駄菓子屋の奥座敷で食べた「ボッタ」(もんじゃの千住風呼び名)が忘れられず、「聴きめぐり千住!」では『tsu-na-ga-ru のボッタ』という、食と語りのコミュニケーションをトラックとしてまとめました(千住の鉄板焼屋「愛ちゃん」での万全なレコー ディング体制は見ものでした!)。そんな千住に確かな記憶と思いを持つBonちゃんは「デモ発表会 Vol.2」では、なんと「国歌」。千住のお祭りなどに集った外国人から国歌の鼻歌を収録し、土地と音楽の関係を探る新しい試みを始めています。

溝口 靖浩|みぞぐち やすひろ

制作トラック:
『記憶・声・千住』(『音盤千住 Vol.1』/2017)
『地縁を巡る考察』 (デモ発表会 Vol.2/2019)

千住の住民の記憶――かつてこのまちにあったが、今はもうない風景、文化、つながり――などを、地道にフィールドワークし、それらを断片的な声としてまとめ、独自の「音楽」を創りあげてきた溝口さん。地元に愛される老舗銭湯「タカラ湯」の主人・松本さんとの交流も深まり、松本さんが押入れに残していたカセットテー プの発掘をきっかけに、昨年6月には「街に埋もれた『ロストテープ』を探せ!」という企画も実施してきた。「デモ発表会 Vol.2」では千住での出会いをきっかけにしながらも、エリア的には現在千住に直接住んでいない方も含めた、不思議なボイスドキュメンタリー作品を制作した。

Little Step Project|リトルステッププロジェクト

岡野 勇仁・高橋 秀雄・中村 佐由利

制作トラック:
『Gloria』(デモ発表会 Vol.2/2019)

昨年 5 月から新たにタウンレコーダーとして加わった足立区在住の中村佐由利さんと、初期からタウンレコーダーとしても活躍するミュージシャン岡野勇仁さん。そして、そのご友人のギタリスト高橋秀雄さんによるユニット。中村さんの関心は「境界」。人と人の間に引かれる境界は、さまざまな属性(性別、国籍、人種、信仰、文化...)によって生まれ、ふとした瞬間にズレていくもの。そんな「境界」に対する思いを、彼女は足立区梅島駅付近にあるカトリック梅田教会に通い、そこに通う人々とのコミュニケーションを通じて浮かび上がらせようとします。

Reel-to-Reel|りーるとぅりーる とも&りょうた

制作トラック:
『電車エレクトロニカ ~北千住駅 大踏切と今~』
  (『音盤千住 Vol.1』/2017)
『電車エレクトロニカ ~北千住 過去篇~「機関車大活躍」』
  (デモ発表会 Vol.2/2019)

千葉県の里山が育てた、親子電子音響ユニット。お二人がこだわってきたのが「電車」。千住と言えば、東武伊勢崎線、東京メトロ、JR常磐線とTX線が入り乱れる「北千住大踏切」は有名だけど、最初に生み出した作品が『電車エレクトロニカ ~北千住駅 大踏切と今~』。大踏切で電車のモーター音をラジオで周波数をあわせてサウンドスポッティングするという手法で作品を生み、そのプロセスでは、東武の鉄道員の方に取材したりも。「デモ発表会 Vol.2」では「過去篇」を発表。時空を超えたリサーチを積み重ねながら、大正琴の生演奏も交えて発表してくれました。